
株式会社ハシドラッグ
ー 次の事例
代表取締役社長 石川 優子 様
取締役常務 小澤 恵子 様
すずらん薬局として静岡市内に10店舗の調剤薬局をドミナント展開。
往診同行等の”多職種連携型在宅医療”で、静岡市内における在宅シェア率は約21%。
調剤薬局の他にも、デイサービス・居宅介護支援事業所・一般医薬品販売・福祉用具・宅食サービス等幅広い事業で「地域のホットステーション」の役割を担う。
新しい風が吹いた採用活動
1年間で3名の新卒薬剤師が入社
ー弊社のサービスを導入しようと思ったきっかけは何でしたか?
小澤:なかなか新しい薬剤師が入ってこない状況が続き、やりたいことはいっぱいあるのですが、新卒採用活動で何をしたらよいかわかりませんでした。その時にちょうど、ドラファルマの新井さんからお話をいただいたのがきっかけです。
ーこれまでの状況をお伺いできますか?
小澤:静岡県内の薬学生の採用市場は静岡県立大学のみで、1学年80名のうち8割の64名が企業・病院を志望する傾向があり、環境的にも採用が非常に難しいエリアでした。そういった要因もあり、毎年、実務実習に来た方が2年に1度、1人入るぐらい。新たな採用に動くことはしていなかったため、やり方すらわからず、来てくれるのを待つだけになっていました。薬剤師の採用は中途採用に頼るしかなく、かなりの金額を投資していましたが、離職が多いのも課題の一つでした。
ー弊社のサービスとして、出向型コンサルティングを選んだ理由を教えてください。
小澤:出向型を選んだのは、皆さん現場が忙しすぎて誰も動ける人がいなかったというのが一番の理由です。私ともう1人の医療事務が人事担当でしたが、やはり薬剤師さんの採用というのはすごく難しくて、現場も掛け持ちしながらだったので苦労していました。
ー実際に出向型のサービスを導入していかがでしたか?
小澤:最初に、ドラファルマの出向社員の方を皆に周知してもらうために、各店舗を全部回ってもらっていました。新卒採用に対してまだ社員たちの免疫がなかったので、ちょっと部外者を扱うような感じだったかもしれません。どの人が採用に対してオープンなのか、受け入れてくれるか、探りながらやっていった感じですね。出向社員の方は、特に最初はすごくご苦労されたと思います。
経営側としては、会社と関係ない方が入ってくれたことで、実はすごく楽に感じていた部分もありました。
社員さんにはどうしても気を遣う部分があったんです。採用というのは負荷のかかる業務なので、本当は手伝って欲しいことがあったとしても、仕事量が多すぎないかとか、無理をさせすぎたら辞めないかとか…。
その点、出向社員の方はミッションを途中で投げ出すことはありませんし、「もう辞めます」っていうのが絶対ないので、そこは本当に気持ちが楽でしたね(笑) 「ちょっとここお願い!」って言うと、「はい」か「Yes」しか言わないので、いろいろな依頼もしやすくて助かりました。
ー社内が採用に対して協力的になったのは、どんなタイミングでしたか?
小澤:きっかけとかはなくて、本当に少しずつですね。インターンを協力店舗から受け入れてもらい、その回数を増やしていきました。受け入れが難しい店舗も、他がやっていることを理由に、1日ぐらいはしてもらうお願いに回りました。本当に1年ぐらいかかりましたが、今では皆さんインターンをお願いすると、「この日はできないけどここならできるよ」と提案してくれます。以前は「無理です」の一言でしたが、なんとか協力しようと前向きに対応してくれるようになりました。
ー嬉しい変化ですね。導入後の成果はいかがでしたか?
小澤:1年間で新たに3名の薬学生の採用ができました。3名が入社したことで、本当に採用できるんだと社員にも伝わった感じですね。
そこから結構皆さん、さらに前のめりで頑張ってくれるようになっています。実務実習生の受け入れも本当に大変なんですけど、やれる店舗も増えてきました。受け入れることが前提のような雰囲気ができてきて、良かったと思います。
ー素晴らしい変化ですね。3名という成果が生まれた主な要因は何だと考えていますか?
小澤:素直に出向社員の方のおかげだと思います。あとは、対応してくれた社員さんたちが本当に頑張ってくれたことですね。
採用を始める前は、すずらんの何がいいか、社員さんも私も明確に言葉にすることができなかったんです。
他社と比べたこともなかったし、当たり前だと思っていたことがうちの特長だったことも採用を通して知ることができました。そして、それをまた社員に伝えることで、社員の口から学生さんたちにも伝えられたのかなと思います。 学生さんへの対応を見ていると、すごく説明が上手な人もいて、パートさんとかでも本当にお母さんのような感じで学生さんたちの対応をしてくれます。逆に、仕事がすごくできる人ほど意外と学生さんを褒めるのが苦手だったり。採用活動を通して、社員のいろいろな面も見えてきました。
ー採用活動が思わぬ発見の機会になったんですね。
小澤:そうなんです。自社のアピールポイントも浮き彫りになり、会社が社員にアピールすべきところも見えてきて、すごい良い経験だったなと思います。
ー出向社員への率直な感想を教えてください。
小澤:実は最初は不安もありましたね。たぶん出向社員の方も採用業務は今回初めてで、コンサルタントの田代さんのバックアップがあるとはいえ、本当に大丈夫かなっていうのはあったと思います。お互いがドキドキしている感じ。ですが、3ヶ月ぐらい経った頃から、自信もついてきたのではないでしょうか。すずらんのことを理解してくれて、本当にお任せしても大丈夫なぐらい自分で行動してくれる人になって、積極的に提案もしてくれるようになりました。自分で考えて、自分で動いてくれるので、すごく良かったです。成長したなと思いました。上から目線ですみません(笑)
ーコンサルタントの田代への率直な感想を教えてください。
小澤:田代さんには、もう尊敬しかないですね。新井さんもそうなんですけど、ずっとプラス思考で落ち込むことがない。自分で次の課題を見つけて進んでいくところが、すごいなと思っています。
ープロジェクトの中で、上手くいかないときはありましたか?
小澤:実は結構ありました。
絶対来てくれると思っていた学生が、採用に至らないケースが続いたことがあって、正直、気落ちしましたね。田代さんから「よくある」みたいな感じで、豊富な経験から「まぁそんなもんですよ」と言っていただけると、「あ、そうなんだ」と持ち直すことができました。 採用って慣れるまでは、精神的ダメージばかりですよ(笑)
ー「こんなにやってきたのに」みたいなことですよね。成果が出始めたタイミングはどれくらいですか?
小澤:出向サービスを開始して3ヶ月後くらいですね! ゼロから関係性を構築した学生が選考会に進み、初めて内定承諾をしてくれたのが5月でした。
ー2年目になり、状況はいかがですか?
小澤:後任の自社社員を育成し、ドラファルマさんのサポートを受けて内製化を進めているところです。いつまでも外部に頼るのではなく、自社で採用できる力をつけていきたいと思い、採用業務の経験がある薬剤師ではない社員を中途採用しました。基礎はしっかりできているので、自立して業務ができる状況になってきています。
入社した新卒薬剤師の3人も優秀なので、とても助かっています。4ヶ月目くらいから無菌調剤もしていて、在宅や施設も持ったりしているので、とても優秀だと思います。
それから、採用が進むことで会社の中が変わってきました。今までは、新しい機械を入れようとしたり、システムや制度を変えようとしたときに、変化を好まない方たちも多く、導入しにくい雰囲気があってなかなか大変だったんです。時代の流れもあるかもしれませんが、若い人が入ることによって、変わらなければならないと皆が思ってくれるようになってきました。
石川:管理薬剤師も含めて長く勤めてくれる薬剤師が多かったので、なんとなくこのままでいいという甘さもあって、この2、3年の環境の変化に少しついて行けてなかったのかもしれません。
若い人が増えると、社員の意識が変わっていきますね。若い人たちの考え方と自分たちが違うことに気づき、触れ合うことで今の時代を間近に感じて、変わらないといけない方向に意識が向くのかなと思っています。
これから調剤薬局を運営していくうえで、いろいろなチャレンジに対するハードルが下がったと思います。やっぱり若い人が入ると、将来への希望が膨らみますよね。すごくうれしいことがいっぱい増えてきています。
ーたくさん素敵なお話をありがとうございました。